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2010年3 月20日 (土曜日)

2010年4月 歯科診療報酬改定について 保団連

 


保団連社保・審査対策部歯科部長 田辺 隆


歯科医療担当者、患者・国民の運動は反映されたが、歯科医療崩壊をとめるにはほど遠い
今次歯科診療報酬改定は、歯科医療従事者と患者・国民の「保険で良い歯科医療」を求める22万筆を超える請願署名、全国の自治体の25パーセントを超える地方議会意見書採択、さらに政権交代後に取り組まれた政府、与党、各党議員への歯科医療改善を求める要請などの運動が反映し、歯科診療報酬本体は2.09%の引き上げとされた。

しかし、中医協の医療経済実態調査でも歯科医療機関の経営悪化は明らかであり、今日の歯科医療の危機を打開するためには、本会が要求してきた10%以上の引き上げが不可欠である。改めて政府・与党に大幅引き上げを求めたい。

改定内容では、基本診療料に改定財源の多くが配分され、歯周治療、麻酔、有床義歯などの基礎的技術料がそれぞれわずかずつ引き上げられた。また、歯科医療機関以上に深刻な状況に追い込まれ、本会が一貫して要求してきた歯科技工士の労働に対しても、部分的だが初めて評価が行われた。

一方、基本診療料の引き上げのために、スタディモデルの包括や歯科疾患管理料の評価が引き下げられるなど、医学的にも根拠のない包括が前回に引き続き強行された。また、新たな施設基準による医療機関の差別化や、文書提供内容の項目が追加されたことで、日常診療への影響も危惧される。

さらに、歯科疾患管理料は、点数の引き下げによって低廉な評価での患者の長期継続管理システムが強められ、患者のための医学管理が、歯科医療機関の犠牲によって行われるという構図がより鮮明になった。

今次改定は、限られた財源の中で基礎的技術料の一部引き上げなど臨床現場の声が一定反映された内容があるものの、歯科医療費抑制政策としての包括拡大、長期継続管理システムの押し付け強化、明細書発行義務化など、さらに歯科医療危機を推し進める内容が含まれている。

限られた財源の中で保団連の要求が一定反映
基本診療料の引き上げ、乳幼児の50/100加算対象年齢の6歳未満児への拡大、有床義歯調整管理料の新設、後期高齢者在宅療養口腔機能管理料の廃止と歯科疾患在宅療養管理料の新設、う蝕処置、歯周基本治療の2回目以降、歯周組織再生誘導手術、麻酔、有床義歯などがそれぞれ引き上げられた。病院歯科でも施設基準の緩和と再診料が引き上げられ、保団連の要求と運動が着実に反映したものとして評価したい。

有床義歯、歯科技工士の評価など高齢社会への対応
高齢社会に必需の有床義歯については、レジン床義歯、バ-や保持装置が若干ながらも引き上げられた。

また、有床義歯調整管理料として義歯の調整に関わる項目が復活したことは、臨床現場に即したものとして一定の評価ができる。

さらに、歯科技工士を配置し、その技能を活用している歯科医療機関に対する評価として、有床義歯に係る修理の加算が新設された。

診療報酬で初めて歯科技工士の技術と労働が評価された。

しかし、歯科技工士を雇用しているのは全医療機関の1割程度に過ぎず、良質な歯科医療の提供のためには、歯科技工所と定期的な連携を行っている歯科医療機関に対する評価へと拡大し、さらに義歯修理に限定することなく、全ての歯冠修復・欠損補綴物にまで適用範囲を広げる必要がある。

初・再診料は引き上げられたが、医学的根拠もない包括を拡大
初診料、再診料が引き上げられたが、このためには約400億円が必要となるため、診療報酬体系の簡素化を名目にし、スタディモデルを包括し、歯科疾患管理料を引き下げることで財源を捻出している。
前回改定ではラバー加算、歯肉息肉除去手術が基本診療料に包括されたが、今回改定でも同様の手法で包括が拡大された。

基本診療料の引き上げのために、一つ一つの治療行為に係る技術と労働の評価をなくす包括は断じて容認できない。

医学的根拠もない強引な包括拡大の直接の目的は、歯科医療費の抑制にある。同時にレセプトオンライン請求のための整理、統合という意図も見落とせない。

低い評価の歯科疾患管理料による患者の長期継続管理システム強化の危険性
歯科疾患管理料は算定要件が従来の口腔管理から「継続的な管理を必要とする歯科疾患を有する患者」に対する管理と位置付けられた。

さらに管理計画書に「歯科疾患と全身の健康との関係」、継続管理計画書には「口腔内の状態の改善状況」の記載が追加され、管理計画書作成による診療への影響が危惧される。

また、初回の点数引き下げによって、さらに低廉な評価で患者のための医学管理を行うことになった。

歯科診療の柱ともいえる医学管理が、他の医学管理の項目に比べて極めて低い評価とされたことで、厳しい状況にある歯科医療機関をさらに深刻な状況に追い込むことは明らかである。
こうした歯科医療費抑制のための長期継続管理システムには反対する。

在宅では医療行為の評価を時間で縛る算定要件を導入
歯科訪問診療の評価体系を見直し、訪問先を「在宅等」で統一し、患者1人の場合は歯科訪問診療料1、複数の患者の場合は歯科訪問診療料2を算定、いずれも「20分未満」の場合は歯科訪問診療料ではなく、初・再診料の算定に変更された。

訪問歯科衛生指導料も「20分以上」という算定要件がすでに導入されているが、医科にはない「20分以上」の一律の算定要件を歯科の訪問診療にだけ持ち込み、医療行為の評価を時間で縛る悪しき先例を作ることには断固反対する。

訪問診療では患家での治療時間以外にも、移動時間や治療後の機器の消毒など時間についても外来の倍以上の時間を要しており、診療に必要な機器、マンパワーの確保が可能な評価と、在宅医療に積極的に対応できるよう往診料の復活など抜本的な見直しを求めたい。

施設基準、情報提供などが再び増加
診療情報提供料()の加算、歯科技工加算、手術時歯根面レーザー応用加算、障害者歯科医療連携加算など今回新たに導入された項目の多くに施設基準の届出が必要とされた。施設基準の届出の有無による医療機関の差別化が危惧される。

また、歯科疾患在宅療養管理料、口腔機能管理加算などの算定要件として文書提供も義務付け、前回改定で厚労省自ら整理縮小した文書提供が、今次改定で再び増加している。一律の文書提供を算定要件とするのではなく、必要に応じた提供に改め、文書提供料を別に評価すべきである。

明細書の無償発行の義務化
レセプトの電子請求が義務付けられている医療機関に対して明細書の無償発行が義務付けられた。

現行の難解な診療報酬体系では、義務化は患者が医療機関に対して無用かついわれのない誤解を抱くなど、混乱を招きかねず、患者と医療担当者の信頼関係のもとで成り立つ医療のあり方そのものを変質させる危険性をはらむものである。

以上のように今次改定は、患者・国民と歯科医療担当者の粘り強い運動が着実に反映し評価できる面もあるが、その一方で歯科医療費抑制を意図した包括拡大と低廉な評価での長期継続管理システムの強化も含まれた内容になっている。

このため、保団連に集まる歯科医師は、患者、国民と手を携えて歯科医療の危機突破に向けて「保険で良い歯科医療」の実現、混合診療拡大阻止の運動をこれまで以上に進めていく決意である。

2010年3月21

 


2010年3 月19日 (金曜日)

2010年診療報酬点数改定にあたっての談話  保団連

全国保険医団体連合会

医科診療報酬改善対策委員長 武田浩一

 

1 はじめに

2010年診療報酬改定は、「医療崩壊」の事態から地域医療を再建するため、医療費抑制政策の転 換、医療費全体の底上げを国の医療政策の中心課題に位置づけ、実施するべきであった。

しかし、 診療所および中小病院への手当ては議論の外に置かれ、重点課題とされた救急、産科等や、勤務医 負担軽減対策も補助金削減とセットで実施されるなど、政策転換は図られていない。このような改 定では、地域の第一線で初期医療を担っている医療機関まで「医療崩壊」がさらに進み、日本の医 療提供体制は再生不能の状況に陥りかねない。

 

2 実質ゼロ改定-これでは「医療崩壊」を止められない

2010年改定にあたって保団連は、「医療崩壊を食い止めるために10%以上の引き上げが必要」と 主張し、医療関係団体、患者・国民、政党・国会議員、マスコミに訴えを広げ、昨2009年の総選挙 では、診療報酬引き上げが各政党のマニフェストや公約に掲げられた。特に民主党は、INDEX・医 療政策詳細版で「総医療費対GDP 比をOECD 加盟国平均まで今後引き上げる」ことを明記して総選

挙に勝利した。

しかし、新政権発足後、医療費削減を求める財界や財務省の大攻勢の結果、昨年1223日に政府が発表した改定率は総枠で0.19%(本体1.55%+薬価・材料費▲1.36%)の引き上げにとどまった。

 

その上、「後発品のある先発品の追加引き下げ」で捻出される600億円(▲0.16%)が改定率の計 算に盛り込まれておらず、全体の改定率が実質0.03%にしかならないことが判明した。先発品の追 加引き下げは、処方せん様式の変更等によるこれまでの後発医薬品の使用促進策による医療費削減 とは違って薬価そのものの引き下げであり、当然診療報酬改定財源とすべきである。

そもそも三党 連立政権合意書では、「医療費(GDP 比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す」とされている。 これを踏まえるならば、先発品の追加引き下げで捻出される600億円は改定財源に入れるべきであ る。

 

3 診療所の報酬引き下げは、地域医療崩壊をさらに深刻なものにする診療所の再診料が2点引き下げられ、再診料は病院・診療所とも69点に統一された。

2007年6月実施の中医協医療経済実態調査で約17%だった収支差額赤字の医科診療所は、2009年6月調査で約28%に急増しており、医療の再生産すら困難な診療所が増えている。

再診料以外に も眼科、耳鼻科等で実施する汎用点数が引き下げられるとともに、アナログでのエックス線撮影料 等も引き下げられた。

 

病院勤務医の負担軽減を目的に、標榜時間以外も患者からの電話問い合わせに対応可能な体制を 確保している診療所に「地域医療貢献加算(3点)」が新設された。

しかし、わずか3点の加算で夜 間対応を求められる内容であり、加算を算定しなければ引き下げ分を取り戻せない。200911 末に発表された東京商工リサーチの「20091月~ 10月 病院・医院の倒産状況」では、病院の 倒産が14件(前年同期比9件増、180.0%増)、また一般診療所が25件(同12件増、92.3%増)であ り、「政府の・・・社会保障費を削減する厳しい医療費抑制方針に沿って、・・・全体としては4 連続のマイナス改定」も影響していると述べ、当面厳しい状態が続くと指摘している。必要なこと はマイナス改定で倒産の危機に追い込まれている診療所や病院の体力を取り戻すことであり、その ためには再診料を引き上げ、全体の底上げをはかるべきであった。

また2008年改定で大きな打撃と なった外来管理加算の5分ルールは、2年にわたる粘り強い取り組みの結果、廃止されるという大き な成果を上げた。

しかし新たな要件が追加されるなど、課題は依然として残されたままである。地 域医療を守るため、診療所・病院とも再診料を大幅に引き上げ、外来管理加算の算定要件を2008 改定以前に戻すなど、2010年度予算を組み替え、緊急再改定を行うよう強く求めるものである。

 

4 中小病院の経営も困難に

病院の再診料や14日以内の入院加算が引き上げられたが、一般病棟151入院基本料が20点引き 下げられ、90日を超えて入院する患者の報酬が包括される後期高齢者特定入院基本料が全年齢に拡 大された。長妻厚労大臣自身が11月2日の国会答弁で、「中医協と相談して廃止していく方針」と明言していたものであり、廃止すべきである。

 

また病院の療養病棟入院基本料の区分がA~Eの5区分からA~Iの9区分とされ、看護職員の 配置数とともに医療区分2,3の患者比率80%未満の入院基本料については各区分とも軒並み点数 が引き下げられ、病床維持がますます困難な状態に追い込まれる。

中医協の療養病床のコスト調査 結果では、現行の医療区分1は入院患者1人1日につき1,192円~ 3,217円の赤字となっているこ とが判明している。

長妻厚労大臣は療養病床の削減計画について「受け入れ側の介護施設が整備さ れないまま削ることで、大変な社会問題になっている」(11月2日の国会答弁)として、凍結する 考えを明らかにし、現在実態調査を行っているとのことだが、改定による病床削減が進んでしまう のは国会答弁に反する。療養病棟入院基本料の報酬引き下げは中止すべきである。

 

5 入院患者の他医療機関受診に新たな仕組み (これまでの公的医療保険制度の否定)

包括点数でない入院基本料算定患者が他医療機関を受診した場合、入院基本料の基本点数の30 を控除することとされたが、そもそも日本の公的医療保険制度は現物給付を基本とし、保険医療機 関が担当した療養の給付の費用は出来高で評価されなければならない。

療養の給付を担当した全て の医療機関への支払いを制限することは、1人の患者を複数の医療機関が連携して支える地域医療 そのものの否定につながる。また30%の控除の根拠すら示されていないのに、一方的に医療機関か ら減点されるこのような制度は撤回するべきである。

 

6 明細書の発行義務化は撤回を

すでにオンライン請求を実施している医療機関に義務付けされている明細書について、今次改定 では電子請求が義務化されており明細書発行機能のあるレセコン使用の医療機関に対して、発行義 務付けが行われた。

該当する医療機関は原則すべての患者に無料で発行することとされており、院 内掲示等で患者に明示することとされている。

しかし明細書は診療報酬請求をするために作成する

ものであり、患者が受けた医療内容を示す文書ではない。このことを無視して発行を義務付けるこ とは、窓口でのトラブル(複雑で理解困難な診療報酬、医療機関によって発行する・しないなど対 応が分かれるなど、患者の理解を得ることが難しい)、待ち時間の増大など、大きな混乱を引き起こ すだけではなく、患者との信頼関係を損ねるものである。

さらに重大なことは病名告知の問題、個 人情報漏えいの危険性にどう対応するのかといった基本的な問題すらまったく議論されず、対応を 一方的に医療機関に押し付けたことである。このようなことは決して許されない。

患者からの求め があれば拒むものではないが、明細書の発行義務化は行うべきではない。

 

7 後発医薬品処方への強引な誘導策はやめよ--薬剤師による後発品の処方変更は安全性の確保からも問題

2008年改定で、後発医薬品の使用を促進するためとの名目で、「変更不可」欄に署名のない処方

せんの場合は後発医薬品への変更が可能とされたが、今回、さらに、「後発品からさらに安価・別規格の後発品への変更」も可能とされた。

 

薬剤師が処方医の確認をとることなく、患者同意のみで処方せんに記載された当初の医薬品と含 量規格の異なるあるいは別剤形の後発医薬品に変更することは、処方という医師の独占業務の侵害 であり、安全性の確保からも問題である。

また「薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、 その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して

調剤してはならない」と規定する薬剤師法第23条第2項に抵触する恐れがある。

「薬効に信頼がも てない」「副作用など安全性に危惧がある」等、後発医薬品の品質、有効性に対する不安が払拭され ておらず、また適応疾患の差異による不安もある。

厚労省の後発医薬品への誘導策の強化にもかか わらず、医療機関の使用状況は依然として低い。

厚労省は、情報不足や流通上の未整備などの問題 も含めて、医療機関が安心して使用できるように、後発医薬品の安全性や有効性について責任ある対応をとるべきである。

この問題は薬価制度全体の問題を改善する中で解決すべきものであり、後発医薬品の使用促進を半ば強制的にすすめるべきではない。

 

8 診療報酬引き上げと患者負担軽減運動にご協力を

医療費削減を求める財界や財務省の大宣伝と攻撃の中で、非常に微々たるものではあるが総枠引 き上げが行われたことは、医療担当者のこの間の運動と患者・国民の願いを一定反映したものである。

しかし、この改定率では医療崩壊は一層深刻化することとなる。

進行する「医療崩壊」にストップをかけることは国民的課題であり、重要なことは診療報酬の底 上げである。次の改定を待たずに早急に予算を組替え、少なくとも総枠で3%以上の診療報酬引き上げを行うよう、強く要望するものである。

 

なお、20091224日に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「社会保障実態調査」では、過去1年間に経済的理由等から医療機関にいけなかった世帯が2%(99万世帯)あったことが判明している。

保団連は、必要な医療が提供できるよう、診療報酬引き上げ・改善と患者負担の大幅軽減を求めて医療関係者、患者・国民とともに奮闘するものである。

 

 

 


2010年診療報酬点数改定にあたっての談話

2010年点数改定にあたっての談話

全国保険医団体連合会
医科診療報酬改善対策委員長 武田浩一


1 はじめに
2010
年診療報酬改定は、「医療崩壊」の事態から地域医療を再建するため、医療費抑制政策の転
換、医療費全体の底上げを国の医療政策の中心課題に位置づけ、実施するべきであった。しかし、

診療所および中小病院への手当ては議論の外に置かれ、重点課題とされた救急、産科等や、勤務医

負担軽減対策も補助金削減とセットで実施されるなど、政策転換は図られていない。このような改

定では、地域の第一線で初期医療を担っている医療機関まで「医療崩壊」がさらに進み、日本の医

療提供体制は再生不能の状況に陥りかねない。


2 実質ゼロ改定-これでは「医療崩壊」を止められない
2010
年改定にあたって保団連は、「医療崩壊を食い止めるために10%以上の引き上げが必要」と

主張し、医療関係団体、患者・国民、政党・国会議員、マスコミに訴えを広げ、昨2009年の総選挙

では、診療報酬引き上げが各政党のマニフェストや公約に掲げられた。特に民主党は、INDEX・医

療政策詳細版で「総医療費対GDP 比をOECD 加盟国平均まで今後引き上げる」ことを明記して総選

挙に勝利した。しかし、新政権発足後、医療費削減を求める財界や財務省の大攻勢の結果、昨年
12
23日に政府が発表した改定率は総枠で0.19%(本体1.55%+薬価・材料費
1.36%)の引き上げ
にとどまった。


その上、「後発品のある先発品の追加引き下げ」で捻出される600億円(
0.16%)が改定率の計
算に盛り込まれておらず、全体の改定率が実質0.03%にしかならないことが判明した。先発品の追

加引き下げは、処方せん様式の変更等によるこれまでの後発医薬品の使用促進策による医療費削減

とは違って薬価そのものの引き下げであり、当然診療報酬改定財源とすべきである。そもそも三党

連立政権合意書では、「医療費(GDP 比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す」とされている。

これを踏まえるならば、先発品の追加引き下げで捻出される600億円は改定財源に入れるべきであ

る。


3 診療所の報酬引き下げは、地域医療崩壊をさらに深刻なものにする
診療所の再診料が2点引き下げられ、再診料は病院・診療所とも69点に統一された。

2007
年6月実施の中医協医療経済実態調査で約17%だった収支差額赤字の医科診療所は、
2009
年6月調査で約28%に急増しており、医療の再生産すら困難な診療所が増えている。再診料以外に

も眼科、耳鼻科等で実施する汎用点数が引き下げられるとともに、アナログでのエックス線撮影料

等も引き下げられた。


病院勤務医の負担軽減を目的に、標榜時間以外も患者からの電話問い合わせに対応可能な体制を
確保している診療所に「地域医療貢献加算(3点)」が新設された。しかし、わずか3点の加算で夜

間対応を求められる内容であり、加算を算定しなければ引き下げ分を取り戻せない。200911

末に発表された東京商工リサーチの「20091月~ 10月 病院・医院の倒産状況」では、病院の

倒産が14件(前年同期比9件増、180.0%増)、また一般診療所が25件(同12件増、92.3%増)であ

り、「政府の・・・社会保障費を削減する厳しい医療費抑制方針に沿って、・・・全体としては4

連続のマイナス改定」も影響していると述べ、当面厳しい状態が続くと指摘している。必要なこと

はマイナス改定で倒産の危機に追い込まれている診療所や病院の体力を取り戻すことであり、その

ためには再診料を引き上げ、全体の底上げをはかるべきであった。また2008年改定で大きな打撃と

なった外来管理加算の5分ルールは、2年にわたる粘り強い取り組みの結果、廃止されるという大き

な成果を上げた。しかし新たな要件が追加されるなど、課題は依然として残されたままである。地

域医療を守るため、診療所・病院とも再診料を大幅に引き上げ、外来管理加算の算定要件を2008

改定以前に戻すなど、2010年度予算を組み替え、緊急再改定を行うよう強く求めるものである。


4 中小病院の経営も困難に
病院の再診料や14日以内の入院加算が引き上げられたが、一般病棟151入院基本料が20点引き

下げられ、90日を超えて入院する患者の報酬が包括される後期高齢者特定入院基本料が全年齢に拡

大された。長妻厚労大臣自身が11月2日の国会答弁で、「中医協と相談して廃止していく方針」と

明言していたものであり、廃止すべきである。


また病院の療養病棟入院基本料の区分がA~Eの5区分からA~Iの9区分とされ、看護職員の
配置数とともに医療区分2,3の患者比率80%未満の入院基本料については各区分とも軒並み点数

が引き下げられ、病床維持がますます困難な状態に追い込まれる。中医協の療養病床のコスト調査

結果では、現行の医療区分1は入院患者1人1日につき1,192円~ 3,217円の赤字となっているこ

とが判明している。長妻厚労大臣は療養病床の削減計画について「受け入れ側の介護施設が整備さ

れないまま削ることで、大変な社会問題になっている」(11月2日の国会答弁)として、凍結する

考えを明らかにし、現在実態調査を行っているとのことだが、改定による病床削減が進んでしまう

のは国会答弁に反する。療養病棟入院基本料の報酬引き下げは中止すべきである。


5 入院患者の他医療機関受診に新たな仕組み(これまでの公的医療保険制度の否定)
包括点数でない入院基本料算定患者が他医療機関を受診した場合、入院基本料の基本点数の30

を控除することとされたが、そもそも日本の公的医療保険制度は現物給付を基本とし、保険医療機

関が担当した療養の給付の費用は出来高で評価されなければならない。療養の給付を担当した全て

の医療機関への支払いを制限することは、1人の患者を複数の医療機関が連携して支える地域医療

そのものの否定につながる。また30%の控除の根拠すら示されていないのに、一方的に医療機関か

ら減点されるこのような制度は撤回するべきである。


6 明細書の発行義務化は撤回を
すでにオンライン請求を実施している医療機関に義務付けされている明細書について、今次改定

では電子請求が義務化されており明細書発行機能のあるレセコン使用の医療機関に対して、発行義

務付けが行われた。該当する医療機関は原則すべての患者に無料で発行することとされており、院

内掲示等で患者に明示することとされている。しかし明細書は診療報酬請求をするために作成する

ものであり、患者が受けた医療内容を示す文書ではない。このことを無視して発行を義務付けるこ

とは、窓口でのトラブル(複雑で理解困難な診療報酬、医療機関によって発行する・しないなど対

応が分かれるなど、患者の理解を得ることが難しい)、待ち時間の増大など、大きな混乱を引き起こ

すだけではなく、患者との信頼関係を損ねるものである。さらに重大なことは病名告知の問題、個

人情報漏えいの危険性にどう対応するのかといった基本的な問題すらまったく議論されず、対応を

一方的に医療機関に押し付けたことである。このようなことは決して許されない。患者からの求め

があれば拒むものではないが、明細書の発行義務化は行うべきではない。


7 後発医薬品処方への強引な誘導策はやめよ--薬剤師による後発品の処方変更は安全性の確保からも問題
2008
年改定で、後発医薬品の使用を促進するためとの名目で、「変更不可」欄に署名のない処方

せんの場合は後発医薬品への変更が可能とされたが、今回、さらに、「後発品からさらに安価・別規

格の後発品への変更」も可能とされた。


薬剤師が処方医の確認をとることなく、患者同意のみで処方せんに記載された当初の医薬品と含
量規格の異なるあるいは別剤形の後発医薬品に変更することは、処方という医師の独占業務の侵害

であり、安全性の確保からも問題である。また「薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、

その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して

調剤してはならない」と規定する薬剤師法第23条第2項に抵触する恐れがある。「薬効に信頼がも

てない」「副作用など安全性に危惧がある」等、後発医薬品の品質、有効性に対する不安が払拭され

ておらず、また適応疾患の差異による不安もある。厚労省の後発医薬品への誘導策の強化にもかか

わらず、医療機関の使用状況は依然として低い。厚労省は、情報不足や流通上の未整備などの問題

も含めて、医療機関が安心して使用できるように、後発医薬品の安全性や有効性について責任ある

対応をとるべきである。この問題は薬価制度全体の問題を改善する中で解決すべきものであり、後

発医薬品の使用促進を半ば強制的にすすめるべきではない。


8 診療報酬引き上げと患者負担軽減運動にご協力を
医療費削減を求める財界や財務省の大宣伝と攻撃の中で、非常に微々たるものではあるが総枠引

き上げが行われたことは、医療担当者のこの間の運動と患者・国民の願いを一定反映したものであ

る。しかし、この改定率では医療崩壊は一層深刻化することとなる。


進行する「医療崩壊」にストップをかけることは国民的課題であり、重要なことは診療報酬の底
上げである。次の改定を待たずに早急に予算を組替え、少なくとも総枠で3%以上の診療報酬引き

上げを行うよう、強く要望するものである。


なお、20091224日に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「社会保障実態調査」では、
過去1年間に経済的理由等から医療機関にいけなかった世帯が2%(99万世帯)あったことが判明

している。


保団連は、必要な医療が提供できるよう、診療報酬引き上げ・改善と患者負担の大幅軽減を求め
て医療関係者、患者・国民とともに奮闘するものである。

以上

 

 


2010年3 月18日 (木曜日)

支払基金の審査結果に不服がある場合再審査請求

社会保険診療報酬支払基金

Press Release No.054

2010/3/18

医療機関からの再審査請求の処理を「写しレセプト」で対応できるように改善

医療機関は、支払基金の審査結果について不服がある場合、再審査請求をすることができます。

医療機関からの再審査請求を行うには、すでに審査を終えて保険者に請求したレセプトが必要になります。支払基金が、保険者からそのレセプトを取り寄せるのですが、そのレセプトが、戻ってくるまでに長い期間を要したり、戻ってこない場合もあります。

支払基金では、このように医療機関からの再審査請求が長期にわたり処理することができない問題の改善を検討しておりましたが、このたび、保険者団体と協議し、条件つきで医療機関からの「写しレセプト」をもって再審査処理を迅速に対応できるよう、改善を図ることとしました。

これまでも、保険者から『レセプト抽出不能のため写しレセプトによる処理を了承する』と回答をいただいた場合は、「写しレセプト」で再審査を行っていましたが、更なる改善策として、今後は、2回目の取り寄せ依頼から2か月を経過しても保険者からレセプトを返付する回答が得られない場合には、「写しレセプト」で再審査を行うこととなります。

22年4月以降、医療機関から再審査請求があったものから、この取扱いの対象となります。

(資料)

医療機関からの再審査請求に対する処理の改善について

支払基金概要

支払基金は、昭和239月に社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設立された法人(平成15101日から民間法人)であって、医療機関から請求された医療費の「適正な審査」と「迅速適正な支払」を二大使命として業務を実施しています。また、診療報酬の審査支払の他に、高齢者医療制度、退職者医療及び介護保険関係の業務も取り扱っています。

 

資料)

医療機関からの再審査請求に対する処理の改善について

http://www.ssk.or.jp/pressrelease/pdf/pressrelease_054_10.pdf

<本件に関するお問い合わせ>

社会保険診療報酬支払基金 総合企画部広報課

 E-mail:honbu@ssk.or.jp

TEL 03-3591-7441内線(818819)

FAX03-3591-6708 http://www.ssk.or.jp/


オンライン請求システムサポートサイトを開設しました

http://www.ssk.or.jp/claimsys/index.html

電子レセプト化のための国庫補助

請求省令の改正について

 

http://www.ssk.or.jp/seikyushourei/index.html#19


「今後の審査委員会のあり方に関する検討会」

報告書の概要

(国民の信頼に応える審査の確立に向けて)

http://www.ssk.or.jp/osirase/pdf/osirase26.pdf


2010年3 月17日 (水曜日)

新型インフルエンザワクチン 公費負担制度の創設要望

厚生労働大臣     長妻 昭  様

厚生労働副大臣    長浜 博行 様

厚生労働副大臣    細川 律夫 様

厚生労働大臣政務官  足立 信也 様

厚生労働大臣政務官  山井 和則 様

  

 新型インフルエンザワクチンに関する緊急要望

  

 2010316

全国保険医団体連合会

会長 住江 憲勇

 前略 国民医療と健康の確保に対するご尽力に敬意を表します。

特に新型インフルエンザ対策については、前政権下における対応の不十分さもあって、大変なご努力を行っていただいております。

全国保険医団体連合会に加盟する都道府県保険医協会・保険医会(医科・歯科保険医103,000人)の会員も、新型インフルエンザの治療や予防接種事業に協力してきたところです。

しかし、新型インフルエンザワクチンにつきましては、最も必要とされる感染拡大時期に供給が間に合わず大幅に遅れてしまったため、小・中学生を中心に感染が拡大してしまいました。

草々

また、ワクチン接種がはじまった後も、対象者が厳しく制限されて接種費用が自己負担とされたため、ワクチン接種が必要なのに経済的問題で接種を手控える優先接種対象者も少なくありません。このため、ワクチンが大量に余る事態ともなっています。

厚生労働省内におかれましては、新型インフルエンザの治療やワクチン状況に対する総括を行い、今後の対策について見直しを行っていると聞いております。

保団連では、医療現場における現状を踏まえて、新型インフルエンザワクチンに関する当面の要求を次の通りまとめました。

ぜひ、下記事項につきまして、早急に取り組んでいただけますよう、要望いたします。

一 新型インフルエンザワクチン優先接種対象者への公費負担制度を創設すること。

理由 優先接種対象者であるにもかかわらず、接種費用が高額であるため接種できない人も少なくありませんでした。

住民税非課税者等は接種費用が全額免除されましたが、これでは不十分です。

希望する方が経済的理由でワクチン接種をできないことがないよう、優先接種対象者への公費負担制度を創設してください。

優先接種対象者は把握が可能であり、昨年に遡及して実施してください。

一 医療機関の新型インフルエンザワクチン余剰在庫分を引き取り、その債務を医療機関に押し付けないようにすること。

理由 新型インフルエンザワクチンは、国の指導のもとで実施時期や対象者、対象年齢が制限されました。

このため、実際に必要とする際に新型インフルエンザワクチンがなく、納入された段階では、すでに時期を逸し、医療機関で新型インフルエンザワクチンが余剰在庫となっています。

しかも10mlバイアルが推奨され納品され、一度封をきれば24時間以内に使用しなければならないことから、最終的に廃棄するなど多くの無駄が生じました。

新型インフルエンザワクチンは、厚生労働省の指導に従い実施した新型インフルエンザワクチン接種計画を忠実に遵守した結果余剰となったものです。

この債務を医療機関に押し付けず、余剰在庫を引き取っていただけますよう、お願いいたします。


2010年3 月15日 (月曜日)

レセプトの電子化3月31日までに契約 国からの助成

レセプトの電子化に対応していない保険医療機関や保険薬局が、レセプトコンピュータやソフトウェア等を購入する場合(ただし、平成21年5月29日から平成22年3月31日までに契約した場合)国からの助成が受けられます。

なお、本助成は、平成21年度限りとなりますので、平成22年度以降にレセプトコンピュータ等の購入を考えておられる医療機関等は今年度中にご契約いただき、助成をご活用いただくことをお勧めします。

歯科の交付決定件数は2266件

交付金9億6871万円

 

http://www.ssk.or.jp/seikyushourei/pdf/shinseisyouketsuke.pdf

http://www.ssk.or.jp/seikyushourei/index.html#18


2010年3 月12日 (金曜日)

平成21年度 医療施設等設備整備費補助金

病院246件、医科診療所14,209件、歯科診療所3,359

 

 社会保険診療報酬支払基金

Press Release No.052

2010/3/12

「平成21年度 医療施設等設備整備費補助金」に係る2回目の交付を決定

社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は、平成22312日「平成21年度医療施設等設備整備費補助金(保険医療機関等が電子レセプトを作成するために必要なレセプトコンピュータの購入やソフトウェアの導入等に対する費用の助成)」の2回目の交付を決定し、同日交付しました。

今回の交付決定により、交付決定件数の累計は15,249件、交付決定金額の累計は5565百万円となり、補助予定額196億円に対する助成額割合は28.4%となりました。

また、同日付で送信用パソコンのみの購入や平成21529日以前にレセプトコンピュータを購入したケースなど、助成要件に該当をしていない申請394件について、不交付の決定を行いました。

なお、今回の決定分を含め、平成2239日現在における申請受付件数は、20,822件(病院246件、医科診療所14,209件、歯科診療所3,359件、調剤3,008件)、申請額の総額は749千万円と、補助予定額196億円に対する申請額割合は、38.2%となっています。

支払基金では、今回の助成措置が平成21年度限りの措置であることから、電子レセプトによる診療(調剤)報酬の請求をお考えの保険医療機関等は、支払基金ホームページ(http://www.ssk.or.jp)に登載されている助成に係る案内や申請書をダウンロードのうえ、これを機会に是非補助金の活用をと呼びかけています。

(参考)

今回交付決定件数等内訳

申請状況(平成22年3月9日現在)