咬み合せをきちんと考えて入れ歯を作る
黒崎俊一さん
(埼玉県さいたま市南浦和)
―出身大学と専門とした分野について?
黒崎
日本大学歯学部を卒業し、大学院は歯科補綴学へ進みました。
日本大学歯学部では東洋医学研究会に入っていたのですが、西洋医学・歯学が基盤ですが、人間を全体で診る考え方である統合医療に興味がありました。
― 咬み合せ治療に取り組んだ動機は?
黒崎
平成8年に開業したのですが、その前の平成6、7年にはホリスティック医学に興味をもち、この分野で高名な帯津 良一先生(日本ホリスティック医学協会会長、埼玉県川越市・帯津三敬病院名誉院長)のホリスティック医学協会へ入りました。
(ホリスティック医学は病というステージだけにとどまらず、生老病死から死の世界まで、まるごとを対象にしているため、代替もなければ統合もありません。
医学とはいっていますが、ホリスティック医学とは”生き方”そのものなのです。)
「開業して何年かは、あまり地域で特徴を出さないでやっていけ」と先輩に言われていましたのですが、開業3年後くらいで特徴を出そうと考えました。
大学院で専攻したのは森谷良彦教授の歯科補綴学Ⅰでしたが、補綴は基本が咬み合せであり、それを歯科医院の特徴としました。
平成11年ころ、BBO研究会へ入り、そこで咬み合せをやりはじめました。
(人体の骨格構造の歪みは筋及び靭帯の緊張を招くだけでなく、局部的組織の体液循環の阻害や、神経圧迫をすることもあります。本来、骨格構造は人体の運動機能的、重力的に左右対称性が高く、その安定維持の為の機構が整っています。)
中堅コースをやっていたときに、BBOをやるには歯の全体をいじるので歯の矯正を知らないとダメだという話となりました。
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座の佐藤貞夫教授のシークエンシャル咬合のセミナーへ行きました。
その後、当院で矯正を取り入れてやっていたのですが、BBOや矯正では歯を削る量が多くなります。
そこで、それはどうなのかと考え、藤井佳朗先生O-リングテストの勉強会へ行き、そこで他の咬合系の先生方との交流とができました。
しかし、O-リングテストでやった失敗例も見て、こればかりではないと考えました。
顎関節症は歯の噛み合わせだけではなく、精神的な原因で来院する患者さんもおります。
口腔は重要ですが、歯は口の一部であり、口は体の一部です。
カラダ全体のバランスを考えなければいけないし、心との関係もでてきます。
人間一個人は、家族、社会との関わりがあり、色々なストレスを抱えています。患者さんと関わるのは歯科医師としては歯科ですが、歯からはじまって、咬合で頭蓋にも刺激が加わるので、その歪を治すことで悪いところが良くなるかもしれません。
― 今後の方向性は?
黒崎
患者さんをどう診ていく、その切り口として歯であったり、口の中であったりしますが、顔の占める部分は大きいわけです。
次いで大きい位置を占めるのが手や足ですが、お腹の部分や背中は小さい。
そこで顔が脳に与える影響、脳が顔に与える影響は大きいのです。
特に口は生物に対する影響が大きいとされています。
― 治療での成功例は?
黒崎
おじいさんとおばさんの患者さんの例ですが、おじいさんは85歳で、おばあさんは75歳で二人暮らしです。
おじいさんは入れ歯が合わなく、食事がしにくいと訴えていました。
囲碁が趣味でしたが、もう東京まで囲碁をやりに行く気力がないと言っていたのですが、入れ歯を治すことで、食事が楽になったのですが、整体も紹介したことから食欲もでてきて、囲碁にも行けるようなりました。
75歳のおばあさんにとっては、今まで食事の世話が大変であったおじいさんの世話が大変ではなくなり、おじいさんも東京へでかけるので、自分の人生が楽になったと喜んでいました。
また、子どもたちにとっても、両親が元気になることは安心です。
このように入れ歯を通じて、歯科でできることがありました。
よく噛めないおじいさんに合わせて食事を作って、自分も同じものを何年も食べておばあさんは過ごしてきたわけです。
自分は元気なのに、自分が食べたものが食べられない、それは悲劇ではないでしょうか。
それが入れ歯を作るだけで解決したのです。
それほど難しい入れ歯ではありませんでした。
咬み合せをきちんと考えて入れ歯を作ることでが基本です。
その人の人生が輝いて生きられる、それが理念ですが、全部が全部成功というわけにはいきません。
色々と勉強し、苦労しながらやってきました。










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