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2010年9 月 4日 (土曜日)

連載 「深化する60代」 続編 (4) 山本嗣信

6a0120a6885bf1970b0133f0bb32e9970b-800wi[1] ―  60代までの歩み  ― 

 

病院新聞社に入社して半年くかいしてからだろうか、中山恒明 (こうめい )さんに取材した。

先輩記者が、榊原 仟(しげる)さんに取材したあとである。

2人は東京女子医科大教授の二枚看板教授であった。

ともに1910年生まれ。

東京大学医学部卒の榊原教授は、心臓外科の世界的権威として知られていた。

一方の中山さんは、千葉大学医学部卒、食道外科で独自の手術法を確立するなど消化器外科で業績あげていた。

昭和22年、37歳の若さで千葉大学医学部第2外科の教授となっている。

多くの外科手術の開発に業績を残し、特に食道癌手術成績を格段に改善させた業績は世界的に評価されている。

「輸血しない中山式手術」を完成させ、手術成績を飛躍的に改善させた。

私は中山式手術に興味をもち取材を申し入れた。

特定の人にしか出来ない手術ではなく、「だれでも出来る、安全で易しい手術」を目指すことが、中山さんの理念であった。

また、中山さんは術式の工夫に止まらず手術機器の開発も手がけ、中山式胃腸縫合器、開腹器など、現在でも用いられているベストセラー機器を開発した。

その他、細血管吻合器、肝臓切断鉗子、膵臓切断鉗子その他多く機器の改良工夫に取り組む。

これらの機器開発に対する国際的な数々の賞も受賞している。

また、インターン問題を抱えた政府としては専門医制度の構築は困難であった。

そこでこの目的を達成させるため、千葉大学医学部から東京女子医科大学に移り、直ぐに専門医育成制度として医療練士研修制度を始めた。

取材では、それらの経緯を聞く。

― 先生がもしも、がんになったら、どうしますか?

想えば、25歳になろうとしていた私は、バカな質問をした。

「幸い弟子はみな優秀です。迷うことなく執刀を任せます」

キッパリと言う。

その後、中山さんは、がんの早期発見の必要性を痛感し、中山がん研究所および我が国で最初の定期検診システムとして中山メディカルクラブ検診システムを構築した。

また、医療事故などについて、「個人の問題とせず、どんなに小さなことでも医局全員の問題として隠さずに医局内で問題として取り上げ、前向きに対応を考えてゆくべきだ」と述べていたが、それを医局内の習慣とした。

私が心に深くとどめたのは、「診療上の問題解決のためには、教科書を鵜呑みにするのではなく『患者さんから学ぶ』」という姿勢であった。

「人生は経験である」が座右銘。

平成17年6月20日、老衰のため94歳で死去。

「私の出会った先生」

医療界で最初に出会った先生として、医療分野の筆頭に位置するのが中山さんである。

 

 

 


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