2010年診療報酬改定に対する要求(案)
http://osk-net.org/database/hokenhosyu/2010kaitei-youkyu.html
全国保険医団体連合会
歯科診療報酬は低診療報酬政策を基調とした改定が繰り返されたことから、基礎的技術料の多くが長期にわたり引き上げられず、また、医学的根拠もなく個々の治療行為が包括されることで実質点数の引き下げに利用されてきた。
更に歯科診療報酬に特徴的な安価な定額評価による患者の長期管理を、歯科医療機関に課す診療報酬の体系が改定のたびに新規に試みられてきた。
2000年4月の「かかりつけ歯科医初診料」、2006年4月「歯科疾患総合指導料」などいずれも臨床の現場には受け入れられず廃止に追い込まれたが、08年4月改定では「歯科疾患管理料」の名称で再度、長期継続管理の体系が導入(新設)された。
08年4月改定では、長期に据え置かれてきた基礎的技術料の一部の改善はあったが多くは据え置かれ、新たな包括の拡大による点数引き下げが行われたため、医療経営の危機は更に加速された。
歯科医療機関の経営逼迫の結果、歯科従事者の雇用も不安定になり歯科衛生士学校や歯科技工士学校では入学者の定員割れが生じ、これらの歯科医療従事者の確保が一層困難になるなど深刻な事態が進行している。
歯科技工所(士)の状況はより深刻で、離職者の増加に歯止めがかからないなど国内の歯科技工体制の崩壊が始まっている。
08年4月改定では、医科に比べて著しく遅れていた新規技術の導入がおこなわれたが、その評価は極めて低く普及が困難で、導入された新規技術の恩恵を患者が受けられないという矛盾が生じている。
以上のように、今日の歯科医療崩壊に歯止めがかからない最大の原因は、歯科の低診療報酬政策にあり、健全な歯科医療経営を確立するためには、医科と歯科の格差を是正し、歯科医療費の適正な引き上げが不可欠の条件である。
このため、新規技術の普及をはじめ、歯科医療の質の確保と安全を保障し、歯科医療の崩壊を食い止めるために以下の基本要求を明確にするとともにその具体化としての重点要求の実現を求めるものである。
歯科診療報酬点数表に沿っての個別要求
1 初診料(A000)、再診料(A001)
(1) 初診料、再診料を医科と同評価に引き上げること。
(理由) 医科歯科格差を是正すること。
歯冠修復及び欠損補綴(M000~M100)
(1) 歯冠修復・欠損補綴並びに補綴関連の技術料を引き上げ適正に評価すること。
(2) 有床義歯についての、6か月以内の再製作の禁止通知を撤廃すること。
(3) 補綴時診断料(M000)は評価を引き上げ1装置ごとの算定とし、2回目以降も算定を認めること。
(理由) 診断の都度、補綴時診断料を算定するのが治療の進め方の基本である。症例によっては時期を異にして個々に作製したり、口腔の状況が変化して新たに着手する症例があるのに、それらの場合に算定できない取り扱いは医学的に妥当ではない。
(4) 補綴物維持管理料(M000-2)については廃止し、診断や印象採得、咬合採得等の技術料を大幅に引き上げること。補綴物と補綴歯の継続的な監視と患者が良好に口腔を管理するための指導管理として、本来の意味での維持管理ができるよう装着後の管理料を設定すること。また、補綴物維持管理の期間中であっても隣在歯の抜歯等により同一の補綴物の再製作ではない場合は、製作費用を算定できるようにすること。
また、実態の伴わない施設基準を廃止し、未届け医療機関の30%減算は取りやめること。
医療機関単位でなく症例毎の算定を認めること。患者の外傷などによる補管算定補綴物の破損は再製作の費用を算定出来るようにすること。
(5) 支台築造(M002)は、その後の歯冠修復がインレーや4/5冠であっても算定できるようにすること。また、窩洞形成、装着等の費用は独立して評価すること。
(6) スクリューポストの挿入をレジンコアの算定要件としないこと。
(理由) 歯質の状態により、スクリューポストを挿入しないほうがより長持ちする症例もある。
(7) 支台築造印象(M002-2)の評価を引き上げること。
(8) 齲蝕歯無痛的窩洞形成加算、接着ブリッジは評価を引き上げること。
(9) 包括評価を改め個別に評価すること。
ア 歯肉圧排、歯肉形成、研磨、特定薬剤等は包括でなく別途評価すること。
イ テンポラリークラウンを評価すること。咬合関係の維持などの観点から、部位や歯冠修復物の種類にかかわらずテンポラリークラウンの算定を認め、適正に評価すること。作製に使用する材料についても算定できるようにすること。
(理由)
テンポラリークラウンは前歯でのみ必要なものではなく、臼歯部における咬合関係の維持や歯の移動の防止など、部位によらずに必要とされるものである。さらに、テンポラリークラウンの作製には、材料が必要であり、かつ、時間と労力が相当かかることから、適正な評価が不可欠である。加えて、テンポラリークラウンに対する患者からの要望も強く、抜本的な改善が必要である。
ウ 補強線、ろう着、遊離端加算、咬合採得の困難加算などの費用を復活させること。
(理由)
補強線については、安価なものではなく、実際に使用することで義歯の強度がアップし、短期間での再製作を避けられるなどメリットが大きい。別途算定を認めるべきである。
エ 有床義歯作製時の作業用模型は別途評価すること。
オ 印象採得の困難加算を復活させること。
(10) 充填(M009)は、エナメルエッチング法、エナメルボンディック法の加算を復活すること。
(11) メタルコアは、評価を引き上げ、包括された形成料、印象料、咬合採得料、築造体製作料、装着料、セメント料などを、それぞれ個別の行為毎に算定できるようにすること。
(12) 前装鋳造冠(M011)を小臼歯まで認めること。
(理由) 強度的および審美的観点から前装鋳造冠は小臼歯まで算定できるようにするべきである。
(13) 乳臼歯、大臼歯の単冠での4/5冠を復活すること。
(理由) 無駄な歯質の切削を減らす必要がある。歯科医師の裁量に任せるべきである。
(14) 健全歯質を残す観点から4/5冠とインレーの間の治療評価としてアンレーを新設すること。
(15) 歯冠継続歯(SK)は廃止した点数を復活すること。
(理由) 咬合関係よりSKにせざるを得ない症例が臨床ではある。
(16) 装着材料料Ⅰは点数を引き上げること。
(17) 保持装置は、バーへの装着の場合のみ加算が認められているが、床義歯の孤立歯部にも認めること。
(18) 有床義歯の調整料を新設し、1装置単位で調整のつど算定を認めること。
(19) 治療用の仮歯を新設すること。 前歯の歯冠修復物・補綴物のダツリ、紛失などに伴い根管治療が必要な場合など仮歯を評価すること。
(20) 暫間義歯を保険で評価すること。
(理由) 早期(即時)の機能回復(審美回復)が求められる。治療を進める上で現行制度では対応が難しい。暫間的に義歯を入れ、治療終了後再度義歯製作を認めることが必要。
(21) 義歯製作のため製作した作業模型を認めること。
(理由) 患者の口腔内状況を診査する以外でも、歯科技工物の製作に必要として製作(個人トレーなど)した場合も評価すること。
(22) 自費補綴物の修理・再装着については保険給付とすること。
(23) 歯科技工士の技術と労働の評価を適正にすること。
(24) 技工指示書の評価を行うこと。
15 歯科矯正(N000~N100)
16 保険外併用療養
(1) 金属床総義歯は選定療養から全額保険導入とすること。
(2) C選療は廃止すること。