<症状>
とみた歯科は開業2年目になるが、患者数もようやく1日25人程度になった
ので、半年前に歯科助手(19歳)を1名採用し、人員を増やした。
この歯科助手のA子さんは、見た目はとても穏やかな感じで、患者ウケは良い
のだが、アポイントの書き忘れ、現金収受の誤りなどが頻発したので院長が叱
ったところ、院長に対し日常的に反抗的な態度が多くなり、周りのスタッフも
A子さんに気をつかわなくてはならず、非常に疲れると院長に訴えてきた。
院長としては、残念だがこのままA子さんと仕事をするのは難しいと判断し
辞めてもらおうと思っている。では、どのようにすればよいのだろうか?
<処方箋>
よくあるのは院長がA子さんに対して不満がつのるあまり、自分に都合よく解
雇、つまりA子さんを自己都合退職に持ち込もうとする場合です。
確かに、自己都合退職であれば何の問題も生じない、しかし今回のケースでは
明らかに事業主側が解雇したいわけだから、そのような姑息な手段はやめて、
正々堂々と解雇をするべきです。
解雇をするためには、まず就業規則がきちんと整備されているかどうかがポイ
ントになります。
解雇に関する就業規則内の規定としては、
1)服務規程
2)解雇規定
3)懲戒解雇規定
4)損害賠償規定
がそれにあたる。
今回のケースでは、医院側からやめるように勧告をするので30日前の予告ま
たは30日分の解雇予告手当の支払いが必要になります。
素直に、この勧告を受け入れればよいのですが、多くの場合はもめます。
それは辞めさせられるスタッフからすると、なんの理由で辞めなければならな
いのかがはっきりしないのと、突然スタッフの生活基盤である収入が途絶えて
しまうからです。
本来、民法の規定によれば、期間を定めないで雇用した者に対しては、使用者、
労働者いずれからでも任意に契約を終了させることができますことになってい
ます。
つまり、労働者に退職の自由があるように、使用者側にも解雇の自由が認めら
れているわけです。
しかしながら、日本のように従来から終身雇用を前提としてきた社会にあって
は、使用者の解雇権を一方的に認めてしまうと、労働者の生活に深刻な影響を
与えてしまうことになるので、労働者保護の観点から労働基準法やその他の法
律によって使用者側の解雇権に一定の制限が加えられているのです。
また、解雇には2種類あります。
それは、普通解雇と懲戒解雇です。普通解雇の要件としては
(a)傷病などにより、業務に堪えられない
(b)勤務成績や能力が著しく不良、または著しく劣り、業務に適さない
といったものになります。
したがって、今回のケースではA子さんに(b)の内容に該当することをきちん
と説明して、納得してもらうことが必要です。
また、解雇に当たっては上の解雇理由を記載した解雇通知書を作成しし、当人
に渡すこともトラブルを避けるために、必要な手順になります。
それでも、A子さんが納得せず、労働基準監督署に駆け込んだ場合には、次回
以上で掲載する予定の「スタッフを切ったら労働基準監督署から電話きた」を
参照してください。