<症状>
坂本歯科医院は、開業12年目で市内でも規模の大きな医院だ。院長は、47歳で治療に対して非常に熱心な先生で、自分自身も技術の研鑽を行うために、休日返上でセミナーに通う。昨年、大幅な医院のリニューアルを行い、それに合わせて衛生士を4名採用し、受付以外は全て衛生士という体制で診療にあたっている。院長は、もっと技術的な研修をするため、衛生士に医院が休日の日曜日にセミナーに参加させることにした。すると衛生士から「日曜は休日なので、代休はもらえるのか?交通費や研修費は医院で負担してもらえるのか?」という質問があった。院長としては、交通費や研修費を負担するつもりではいたが、別に休みをくれというスタッフに憤慨してしまった。
さて、どうすれば良いのだろうか?
<処方箋>
院長の憤慨はもっともです。衛生士本人のスキルアップのために、医院負担で交通費と研修費を全額負担しているわけですから。しかし、労働基準法では業務命令で、日曜日の講習会に出席させる場合には、仕事とみなされますので振替休日をとらせるかもしくは代休を与える必要があります。
まず、振替休日と代休の違いについて確認しましょう。『振替休日』とは、あらかじめ他の労働日を休日と指定した上で、本来は休日と定められていた日に労働者を労働させることを「休日の振替(振替休日)」といいます。つまり、「セミナーに出席する翌日の月曜日をあらかじめ、休日と指定する」ということです。
一方、『代休』とは,まず労働者を休日に労働させ、その代わりに後日、代わりの休日を与えるもので、「代わりに与える休日」をあらかじめ指定しないものをいいます。つまり、「セミナーに出席したら、自分の都合の良い日に休みを取って良いよ」ということです。この場合には、別の日の労働義務を免除したとしても、あらかじめ休日が振り替えられていない以上は、休日の変更はなされていないため、労働を行った日は、休日ですことに変わりはなく、休日出勤をしたことになり、したがって、三六協定と休日割増賃金の支払が必要です。
ちなみに、三六協定とは労働基準法第36条の規定からとった略語で、労働時間は1日8時間、1週間40時間を超えて労働させることは禁止されていますが、例外として、この三六協定を提出した事業場は、オーバーワークさせた場合でも刑罰が免罰されるというものです。三六協定は労使による書面による協定をいい、労働者に残業、休日労働をさせる場合、労働者がたとえ1人であっても必ず所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。この三六協定を締結かつ届出をせず、残業や休日労働をさせると労働基準法違反となるので、注意が必要です。
日曜セミナーに参加させる場合の最も良い方法は、
- セミナー参加の案内をスタッフに渡し、参加の意義を説明する
- 参加は自主的なもので、強制ではないことを言う
- 交通費・研修費は医院で負担すると言う
ようにすることです、こうすれば、業務とはみなされないため、振替休日を取らせる必要もありませんし、逆に研修費などの援助をしていることになります。しかし、この場合は強制ではないので、参加しないスタッフがでてくるとは思います。しかし、そのようなスタッフは、意欲に欠けるので継続的に雇用していくには問題があるかもしれません。




