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渡辺 慶明
株式会社インサイト代表取締役。慶應義塾大学法学部卒。趣味はフライフィッシング。
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2009年4 月10日 (金)

感情経済学⇒ピークエンド効果2

前回は、ダニエルカーネマンが 1999年に発表した、あらゆる経験の快苦の記憶は、ほぼ完全にピーク時と終了時の快苦の度合いで決まるというピークエンド効果をお話しました.

 

 

今回は、実際の歯科医院での実験結果をお話しましょう.

 

カーネマンはトロントの臨床医ドナルド・レーデルメイヤーと一緒に、治療の間60秒ごとに、苦痛と不快を「0」(苦痛なし)から「10」(極端な苦痛)までの段階で計測しました.

 

その結果

 

1患者はその経験の全体としての治療時間は意に介さない
2治療の間に感じた苦痛の強さ(絶頂時)と最後に感じた苦痛の強さ(終末時)には、明らかに関係があるというものでした. 

もう少しわかりやすく言うと

 

 

Aさんは治療時間が長く、全体としての苦痛時間が長いのに、最後の時点での苦痛感が低かったために、それほど治療がいやだという感じをもたなかった.

これに対し、Bさんは治療時間は短い(全体の苦痛時間は短い)のに、最後の時点の苦痛がひどかったために、もう治療をしたくないと感じてしまったのです.

 

つまり、患者さんは治療自体の時間の長さはそれほど気にしておらず、むしろ治療中の最後の時点での感じ方で、全体の苦痛感をとらえているということになりますよね.

 

このことは、まさにピークエンド効果であり、今後の歯科診療においても十分留意すべきことだと思います.実際には、スケーリングの際に、多少の痛みがあったとしても、最終的な段階でたいした痛みがなければ、患者さんは「また、歯石を取ってもらおう」ということになります.

 

逆に、最初は痛みなく歯石をとっていたけど、最後に無理して痛みのピークを感じさせてしますと、患者さんは「もう、歯石をとるのはいやだ」ということになるわけです.

 

皆さんも、「ピークエンド効果」を頭に入れて、治療してみてください.余談ですが、恋愛にもピークエンド効果は大きく影響するようです.


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