歯科医院の競争戦略・・・・歯科医院間の敵対関係
今回は前回までにお話しした以下の5つの競争要因の中で第2番目の既存歯科医院間の敵対関係の強さについてお話しします。
1新規(歯科医院)参入の脅威
2既存業者(歯科医院)間の敵対関係の強さ
3代替品(家庭で治療に行かなくてもすむような薬の開発等)の脅威
4買い手(患者)の交渉力
<既存業者(歯科医院)間の敵対関係の強さ>
企業の場合の既存業者間の競争は、価格競争、新製品の導入、広告合戦、顧客サービスや保証条件の拡大、などの戦術をとって、市場地位を確保しようとするのが一般的です。
これらの市場地位確保が他社から行われた場合、様々な当然敵対行動が起きます。マイケル・ポーター教授による分類を歯科医院に当てはめて考えてみると以下のようになります。
1 同業者が多いか、似たりよったりの規模の歯科医院がひしめいている
「歯科医院の数が多いと、勝手気ままな行動をとる歯科医院が多くなるし、中にはどんな行動を起こしても相手に気づかれることはないと習慣的に感じてしまう場合がある。」
かつては、歯科医師会の元で統一的な行動をとってきた歯科医院ですが、現状ではそうしたまとまりは弱まり、とにかく自分の医院だけでも生き残りを図るような過激な医院が現れてきているのが実体です。
また、規模と経営資源の面で似かよった歯科医院ばかりだとすると、お互いにせめぎ合い、せっかくの経営資源(人材や資金)をお互いの反撃のみに費やされる結果となります。
2 業界の成長が遅い
「業界の成長が遅いと、市場シェア拡大につとめる歯科医院間のシェア争奪競争を引き起こします。かつての歯科医院は業界と統一歩調をとるだけで、歯科医院そのものが発展してきましたが、昨今では有病率の低下、医療費抑制等もあり業界の成長は非常に低水準になっています。
この結果、市場シェア争いは非常に激烈になってきています。
3 固定コストまたは在庫コストが高い
歯科医院にような内装や機器設備の投資が収益に比べ大きい業界では、各医院の競争が激化した場合、サービスの拡充をせざるを得ないため、人件費等が高くなり、収益率が低下してしまいます。現に、歯科医院の医業収益率は年々低下しているのが実状です。
4 製品の差別化がないか、買い手を変えるのにコストがかからない
特別な処置に特化した歯科医院でないかぎり、その技術やサービスは歯科医院側が思っているほど買い手(患者からみた歯科医院)を固定化することはできません。つまり、歯科の場合保険診療に特定すれば価格は一定ですから患者さんからみたコストは全く変わりませんし、サービスの面でもいやなことがあればすぐにでも医院を変えることが可能な状態にいつもあります。
5 撤退障壁が大きい
「撤退障壁というのは、業界で競争している企業が、収益が低く、あるいはマイナス収益率で操業していながらも、その業界にとどまらざるを得なくしている要因であり、次のことから生じることが多い」とポータは述べています。この要因を○、×に分けて分類して、歯科に当てはめて考えて見ると以下のようになります。
1 ○資産がその業種用に特化されている
2 ○撤退のコストが高い
3 ×戦略的な関連性で問題が起きる
4 ○感情的障壁
5 ×政府および社会からの制約
上記のうち、歯科医院で収益が低下してきているにも関わらず撤退出来ない要因として、過去に携わってきたコンサルの経験からみますと4番目の感情的な要因が最も多いと思われます。
つまり、歯科医師という国家資格、あるいは社会的地位をすてることが出来ずやめるにやめられないというのが本音なのではないでしょうか?
このように、競争戦略立案のうえで歯科医院は非常に厳しい状況にあることを理解した上で、今後の戦略を立てていく必要があります。





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